2泊3日、嘉義・台南と九分・台北【第3日目】

第3日目(平成29年4月22日)

九分で3日目の朝を迎える

昨夜は、カーテンを開けたまま就寝したので、朝6時過ぎには部屋全体が明るくなり、自然と目が覚める。窓の外を見ると、豪雨は収まってはいるものの、霧雨のよう。

早朝の九分を散策

ゆっくりと身支度を整え、7時には宿を出て、店舗も開いていない老街を抜けながら、九分を散策。当然、観光客が訪れる時間でもないため、街は閑散とした状態。

昼の時間帯ならば観光客であふれている「阿妹茶楼」前の階段も、2人の歩行者とすれ違うだけ。階段を降りていくと、さびれた炭鉱跡地であった九分を有名な観光地へと変えた映画「悲情城市」の名を付けた飲食店。その前から、阿妹茶楼を見上げる角度で写真撮影。混雑する昼間の時間帯なら絶対に無理な写真!

階段の下はちょっとした広場で、飲食店や土産物屋が取り巻いているが、いずれも開いてはいない。再び、階段を登って、九分の奥へと進む。

老街を進んできた道の突き当りは、テラスのような展望場所。遠くに海を見下ろす風景は、九分の立地を理解するに十分な風景。

宿を出てから1時間程、8時過ぎには宿へ向かって歩き出す。阿妹茶楼の前を通ると、開店準備を始めており、老街の店も数軒がシャッターを開けて開店準備中。のんびり歩いて、8時半近くに老街入口のセブン・イレブンまで着くと、数十人単位の観光客も目に入る。

宿へ戻ると、お姉さんがサンドイッチと紅茶の朝食を持ってくる。薄くスライスされた食パンに挟まれたサンドイッチの中身は、卵焼と排骨。豚肉のスライスに下味を付け、油タップリで焼き上げた排骨のボリューム感が大きい。薄いカレー風味で、お味の方もマアマア。甘く冷たい紅茶と共においしく頂く。

朝食後、荷物を持ち、オーナー家族が住む向かいの家の呼び鈴を鳴らして鍵を返却、バス停へと向かう。瑞芳駅に向かうバス停は、老街入口前の坂を数十m登ったところ。そこから見下ろす九分は、中国寺院越しに海が見えて、良い景色。老街入口付近の展望テラスから眺めるより、こちらの方が絶対におススメ!

瑞芳駅

瑞芳駅には、バスに乗って15分ほど、9時半には到着。台北行の普通列車も土曜日の朝ということもあって閑散としている。一方、台北から来る列車は既に多くの観光客が降りてくる状態。バスで九分に向かうのであろうか? それとも瑞芳から平渓線(支線)に乗り換えて十分に向かうのか? いずれにせよ瑞芳駅は台北北部の観光拠点。

台北市内を散策

「台北の秋葉原」へ

瑞芳から小一時間、普通列車に乗って台北駅。地下鉄に乗り換えて、2駅目の忠孝新生駅へ。地上に出ると、天気は雨模様。バックから傘を取り出し、北へ向かって歩くこと数百mで、電子部品を売る店舗が見えてくる。ここが「台北の秋葉原」と言われる「八徳路電気街」。

目に付いたビルに入ってみると、スマホのアクセサリーやケーブル等々を扱う小規模店舗が軒を連ねているが、20m四方程度・3階建ての小規模なビルのため、入居している店舗数はたかが知れている。ざっと一回りしてビルの反対側に出ると、「光華商場」という名前の大きなビル。

光華商場の1階にはacerやASUSなどのパソコンメーカーの店舗、2~4階にはスマホやアクセサリー、GOproなどのカメラ類、修理受付カウンターなどなど。展示してあるパソコンは高性能機種ばかりだが、付いている値札を見ると、最低でも日本円換算で10数万円と高額。日本で2万円程度で販売されているZenPhon‐Maxの値段も3万円近いし、スマホに装着する自撮り棒も2000円近い。台湾製品なのに日本で買った方が安いとは・・・台湾は、電子製品に限らず、傘や衣類といった工業製品全般に渡って日本より高額! 何か掘り出し物はないかと、物色して回ったものの、ネットショッピングの豊富な品揃えに慣れた目に適う物は見当たらない。

雨の中を歩いて体が冷えたこともあって、何も買わないのに光華商場のトイレを拝借。洋式トイレの便器の脇には大き目の屑籠。台湾では、使用した紙をトイレに流さず、屑籠に捨てるようだが、日本人としては抵抗感が強い(※半年後に訪台した際には「紙はトイレに流そう」という啓発ポスターが地下鉄の駅に掲示)。

三創(高級ショッピングビル)

光華商場を出ると、その並びには「三創」という名の大きなショッピングビル。中に入ると、ゴージャスな雰囲気が漂うフロアには、高級そうなバッグやアクセサリーなどを扱う店舗。どの店も広めで、ゆったりとしたスペースに商品を並べている。上の階に上がってみると子供の英会話スクール。フロアの一角に置かれた日本のガチャガチャは1回50NT$から。日本円換算で約185円だが、ちょっとした食事が採れる値段。台北から基隆までの鉄道料金41NT$よりも高い。高所得者を客層にしたという雰囲気満々のショッピングビル。

「李製餅家」のパイナップルケーキ

三創ビルを出て、北西に伸びる高架路の下を森林公園に向かって歩く。小雨模様で陽は影ってはいるものの気温は高い。何より湿度が高く、少し歩くと、服は汗でベタベタ。

ようやく森林北路に到着。陽が暮れれば華やかな通りになるようで、あちこちにクラブやらバーの看板が見られるが、時刻はまだ2時。森林北路の北側にある「李製餅家」という名の中華菓子店に向かう。

歩道に面した李製餅家はすぐに見つかる。幅4m程のショーケースには様々な菓子が並べられているが、お目当ては「鳳梨酥」、つまりパイナップルケーキ。台湾名物のパイナップルケーキは、サニーヒルズという名前の店が有名だが、東京にも店舗があるし、ネットでも買える。しかし、李製餅家は、基隆の本店と台北支店でのみ販売。バラ売りもしているので、とりあえず18NT$(約67円)で1つ購入。紙でくるんだだけの簡易包装の中には、ケーキと言うよりパイと言った方が適当な中華菓子。

※ 画像はホームページから引用

試食してみると、パイ生地の中にパイナップル風味の餡。ちょっとパサパサ感はあるものの、甘さ控えめで美味。ビニールで包まれた12個入パック(※半年後には、キチンとした紙箱に入っていました)を職場用も含めて4パック購入。お土産はこれが全て。まだ海外旅行が珍しかった40年程前は、お土産をイロイロ物色したが、世界中のモノがネットショッピング出来る現代、限られた時間をお土産の物色に費やすのは無駄!

遅めの昼食、まずかった!

お土産の調達も終わり、森林北路を抜けて、ブラブラと台北駅に向かって歩く。本日は、民宿での簡単な朝食した採っていないので、お腹もペコペコ。途中で日本のラーメンや牛丼のチェーン店を目にするが、入ったのは庶民風の中華料理店。焼きそばを注文したが、出された料理はハッキリ言って旨くない。一口飲んだ骨付き肉の入ったスープは、味が感じられず、感じるのは臭みだけ。焼きそば自体も薄味ということ以上に味付自体が変。食べ残しは自分の主義に反するが、半分程度食べたところでギブアップ。唯一、良かったのは、店内の冷房がしっかり効いていること。ガラガラの店内で、汗だくの衣類が乾くまで休憩。

MRTで桃園国際空港へ

注文から休憩まで約1時間、店内で過ごし、4時頃には再び台北駅へ向かって歩き出す。天気は相変わらずの小雨模様だが、風が強くなっている。台北駅の地下街に入る直前には、持参した古い折りたたみ傘の骨は折れてボロボロに。

台北駅の地下街に入り、通路に並ぶ商店を覗きながら、地下街の西端に位置する桃園MRTの台北駅へと向かう。桃園MRTは先月に開通したばかりで、駅自体も最新設備。地下街から改札階に下るエスカレーターの脇には、植えこまれた竹林が伸びていて、近代的な構内に何となく和やかな雰囲気を感じさせる。改札階に降りると、乗車券売り場と自動改札口。壊れた傘を改札口手前のゴミ箱にポイっと捨てて、イージーカードを改札センサーにかざす。ちなみに桃園空港までの乗車料金は160NT$(約590円)。

改札口を通過し、さらにエスカレーターで下に降りるとMRTホーム階。ホームの幅が広いことに加えて、改札階の天井がそのまま続いているので、開放的な雰囲気。すでに桃園空港に向かうMRTが停車していて、ホームドアも開いているが、座席がプラスチック製の各駅停車の車両。ノンストップで空港まで行く「直達車」は15分間隔で発車しているので、各駅停車をやり過ごし、後発の直達車に乗車。

直達車の車内は、荷物置き場が完備され、座席も布張りでキチンとクッションが効いている。台北到着時に高速鉄道の桃園駅まで各駅停車車両に乗ったが、直達車の方が文句なしに快適

MRTは、台北駅を発車後、淡水河の下を通って5分程で地上に出る。地上では高架の上を走行するので、窓からは台北の街並みが良く見える。

桃園国際空港第2ターミナルビル

MRTは、約35分で桃園第1ターミナル駅に到着するが、チェックイン開始まで1時間半もあるので、そのまま第2ターミナル駅まで乗車。第2ターミナルは、「中正駐機場」時代から使われている第1ターミナルより新しいだけあって、規模も大きく、パイナップルケーキなどのお土産を販売する店舗やコーヒーショップなどの飲食店も充実。地下に設置されたフードコートには、台湾でよく見かける魯肉飯が売り物の「髭オヤジ印」チェーン店や、但仔麺が有名な台南の「度小月」の支店も出店。主要な航空会社はいずれも、こちらの第2ターミナルを使用。

「スカイトレイン」で第1ターミナルへ移動

第2ターミナルをぐるっと一巡して、主にLCCが使用している第1ターミナルへ行くことにするが、両ターミナル間を結ぶ「スカイトレイン」の乗り場が分からない。2階の入国フロアの片隅に警官が立っている。通常、日本人が目にすることの無いサブマシンガン・MP5を首からぶら下げていて近寄りがたい感じもするが、尋ねてみると、3階の出国フロアにスカイトレインに向かう入口があるとのこと。

3階に上がり、案内表示に従って人気のない通路を進むが、なんだか一般人立ち入り禁止区域のような雰囲気。しばらく進み、エレベーターで1階へ降りると、15人位で満員となりそうなスカイトレインが停車中。ドアが開いていたので乗り込むと、自動運転で発車。第1ターミナルに到着するまでの時間は、ほんの数分。。

第1ターミナルで時間調整

出国フロアーに行ってみると、まだチェックインが始まっていないにもかかわらず、ピーチのチェックインカウンター前には長蛇の列。座席も事前に指定してあるし、預け入れ荷物もないので、一旦、出国フロアーを離れ、地下のフードコートに向かう。

第1ターミナルのフードコートは、第2ターミナルとは異なり、日本の総合スーパーに設けられているフードコート程度と、国際空港にしては非常に小規模。また、飲食できる場所がここしかないので、非常に混雑。タマタマ、目の前でテーブルを離れるグループがいたので、運良く4人掛けのテーブルを確保。荷物を置いて遠くに離れる訳にもいかないので、すぐそばの店舗で飲み物を購入することに(一人旅の不利な点)。財布の中とイージーカードのチャージ残高を気にしつつ、マンゴースムージーとフルーツカップを注文。

注文した品を受け取りテーブルに戻ると、子供連れの東南アジア系の夫婦が「ココ良いですか?」と訊いてくる。1人で4人掛けテーブルを占拠するつもりも無いので、「yes,sure」と相席。

冷たいスムージーとフルーツでお腹を満たして、出国フロアーに行くと、チェックインが開始されている。チェックイン待ちの列も先程よりは短くなっているので、列に並んでチェックイン。

「酷」な航空会社?

ボーディングパスを受け取り、出国フロアーの外に設けられたら喫煙所へ。一服しながら、航空会社ごとのチェックインカウンター場所を示した案内板をふと見上げると、SCOOTの漢字表記は「酷航」。シンガポール・台北・成田線に使用している機材はワイドボディのB787で、座席スペースもフルサービスキャリアと同程度という評判だが、何で「酷」なの?

日本に帰りましょう

セキュリティチェックと出国審査を受けて、制限エリアへ。免税店を覗いてみるが、酒のタバコも見かけないブランドばかりで値段も高いので、見るだけに終始。喫煙所で一服して、ターミナルの一番はずれにあるB1搭乗ゲート前に移動。搭乗待合室は、通路から階段で下に降りた場所。20数年ぶりの場所だが、改装は行われておらず、飲み物の自動販売機がある程度。

搭乗時間まで15分程度となった頃、日本からの便が到着。時刻表から推察するに関西空港からの便。機内から乗客がぞろぞろ出てくるが、台湾の人が多いよう。出国審査等を終えると夜10時近くになるので、日本人にとってはホテルに行って寝るだけで、利便性は良くない(だから関空発は安いのか?)。

羽田に向かうピーチ858便は、定刻を若干遅れて桃園空港を離陸。機内で飲む酒は旨い・・・ということで、ついつい酒を購入したくなるが、羽田から自宅まで車を運転するのでガマンガマン。機内にはモニターなどの娯楽設備も無いし、機内モードに切り替えたスマホも役に立たず、出来る事は、頭の中で今回の旅行を振り返るだけ。それと・・・LCCに乗る際には、スマホに映画や書籍などをダウンロードしておくべき、との鉄則を十二分に理解したこと。

航空機が羽田へ近づくと、機内では外国人に入国審査カードを配り出す、税関の申告書をもらっている人もいるが、自分は税関への申告物も無いので、何も受け取らず。

年月の経過は制度も変える

西から東へ吹くジェット気流に上手く乗ったのか、ピーチ858便は日付を跨いで、ほぼ定刻に羽田に到着。到着ゲートはターミナルの一番はずれなので、ターミナル中央まではかなりの距離。動く歩道の上を歩いて入国審査場に行くと、外国人用の審査ゲートはそこそこ混んでいるものの、日本人用ゲートはガラガラ。サッサと入国審査を済ませて、税関ゲートへ。税関ゲートのテーブルの上にバックを置いて「申告物なし」を伝えると、若い女性係官が申告書の提出を促す。「いやいや、申告物は無いんですけど」と言うと、係官は「申告物が無いことを記入した申告書を提出してもらいます」・・・「は?」・・・「申告書は全員が提出です。あそこの机に用紙があるので、記入してから来てください!」

年月の経過を感じつつ、20数年ぶりの国外脱出が無事終了。

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